あの日の記録

推しは神様じゃないけど解釈は信仰

“奇跡”!(ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」イン コンサートに寄せて)

前置き

  • 好きだ! 劇場が好きだ、舞台が好きだ、ミュージカルが好きだ、音楽が好きだ、そしてもちろん、推しも好きだ。好きだ! 大好きだー!!!
  • 開いてる帝劇を外から見るだけで感激しすぎて大変だった(笑)
  • 帝国劇場の再開。ミュージカルの再開。その大きな一歩にふさわしい、素晴らしい公演でした。上演のために力を尽くしてくださった全ての皆様に感謝します
  • 静かな客席、近付けないキャスト同士、それでもたくさんの人の心にたくさんのものが届いたと思います。改めて、舞台ってすごいよ
  • あとやっぱりカメラチームの労働量がハンパない。本当にありがとうございます
  • 無観客配信で7/18,19の公演を拝見し、7/26に3回目にしてようやく、有観客&実際の劇場での観劇と相成りました。無事に幕が上がり、そして観客の拍手とともに幕が下りることを、ここまで幸せだと思えたのは初めてかもしれない
  • どうか千秋楽まで、これ以上何事もなく走りきれますように!
  • ここから下は書き殴り感想です。ネタバレ配慮なし&あらすじの解説もなし&推し(中川さん・藤岡さん)の話多めでお送りします

感想

開演まで

  • 自分でチケットをもぎって劇場に入って、ロビーの椅子は1席空けて座って、巡回してる係員さんも声をかけてこない。これが新しい観劇様式!?
  • ざわめきがなくシーンとした開演前の客席、異様っちゃ異様だけど意外と心地良かった
  • 開演前アナウンスの中川さんがめちゃめちゃ嬉しそうなので既に私も嬉しい

オープニング〜春

  • "Ces Soirees-La"で1人ずつピンスポ当たるとこがもう好き、テンション上がる
  • 尾上さんのトミーのオラオラ具合が、マジでこの新キャストのめっけもんだよなあと思うレベル。あの方を連れてきたの天才すぎる
  • 「この社会情勢の中で、中川晃教藤岡正明が互いに背中を預け合って帝劇でデュエットしている」という事実が素晴らしすぎて、天に感謝せざるを得ない。希望をありがとう。光をありがとう。これだけで既にチケ代の3倍くらい回収してる
  • 藤岡さんトミーと中川さんフランキー、相性が良すぎるのやめてもらっていいですか? 2人とも歌が上手すぎるし音楽ができすぎるのよ。そしてお互いに遠慮がないし、信頼してるから何でもできるし、瞬時に相手の出方を読んで合わせる。天才しかいない。あまりにも好き
  • 記憶が混乱してるのでここで合ってたか微妙だけど、藤岡さんトミーの背中側から肩をぽんぽんって払ってあげる中川さんフランキーが実在しましたね? お母さんかな?? 弟じゃなくお母さん?? ありがとう、だからこの2人が好きって何度でも言うからな
  • 中川さんのフランキー声には、体を内側からくすぐられてるような、美しいだけじゃないし強いだけでもない、抗い難い魅力があるんだよな。一生忘れない声。と、"Silhouettes"を聴きながら思いました
  • 劇場で生で聴くと、低音の存在のありがたさに改めて気付きますね。配信だとどうしても音が平面的になっちゃってあまり目立たないなと思ってたので、やっぱり生で聴くべきだ
  • フランキーがすっごいちゃんと子供でさ、「中川晃教さん、また16歳やってるー!」って感動してしまう。16歳が板につく37歳、ただ単にすごいよ
  • コンサート版だと、治安の悪さや荒廃してる雰囲気があんまり伝わらないけど、これはこれでいいのかもしれない。ただ単に楽しめる
  • 新旧トミーが2人で挑発し合ってるところめちゃくちゃ好き。可愛い。コンサート版だからできるこういう絡み、いいよね
  • 藤岡さんトミーの、良い奴じゃないんだけど全然悪い奴じゃない感じが好き。本当にあなたのトミーが好きすぎる。間違いなく性格は悪いしお金にだらしないし救いようのないクズなんだけど、お前フランキー大好きじゃん! なら許す! ってなれるトミー
  • というか、根本的に藤岡さんトミーはフランキーが大好きだよね(今更)。ここまでフランキー大好き!! なトミーを私は他に知らない
  • 「え、ニック? あいつは別だよ、あれは猿だから」って言ってケラケラ笑ってる藤岡さんトミーが、また何とも愛情深い感じでいいよね。ニックのことも大好きじゃんってなる
  • 尾上さんトミーと喋ってるフランキーにガンを飛ばす藤岡さんトミー、そういうとこも憎めないんだって
  • 教会のシーン、床にステンドグラスが映っててすごかったし、あそこは紛れもなく教会だった。でも、床は配信や1階席だと見えないの、もったいなさすぎる
  • この時期、歌詞も本当にピュアッピュアしてて、少年感があふれ出してる。若い! 特に"My Mother's Eyes"が、ちょっと背伸びした男の子って感じがして、ああ頑張って生きてるのねって微笑ましくなる
  • 「馬鹿言うな、僕の車なんだぞ!」(5歳児)。可愛い。可愛くない? 可愛いよ……。本当に地団駄踏んでそう
  • この頃のフランキーのぽやぽやした感じがすごく可愛い。ガラの悪いお兄さんに絡まれてもぽやぽやしてて「うん!」ってキラキラ笑顔で返事してるのが尊すぎる
  • 「恩に着るよ、トミー」って言った今日のフランキーは、マジでずっとこの恩を着てたな……と思った。素直に純粋ににトミーを慕ってたし、絶交してからもどこかでトミーが好きだったよね
  • "I Go Ape"の尾上さんトミーが、めちゃくちゃ楽しそうでいい具合に狂っていやがる(笑)
  • ジョー・ペシに対してガンギレしてる藤岡さんトミーと、泣きそうな顔してるペシが、2人とも可愛い。ディスタンスのないお芝居も観たい!!

  • 矢崎さんのボブが好き……! 好きだよ!! その! 一見どこにでもいそうな感じが! 好き! です!! 可愛い!!
  • 東さんボブは、それなりに厳しい金持ちの家で育ってる風格がある。何だかんだで自分の才能を疑ってないし、適切な自己肯定感をもってる感じ。あと落ち着きがある
  • 地味に、ボブとトミー・ニックの絡みがあんまりないのもったいないな……
  • "Short Shorts"、いい意味で垢抜けてないボブっていうか、ちょっと勢いのありすぎる少年っていうか、大人っぽさがないのが良いよね。絶妙にダサいんだけどそこがいい
  • この曲がヒットしたってどんな時代なんだろう、ってちょっと思った(笑) この曲が全米No.2ってすごいな?
  • "I'm In The Mood For Love"のときの矢崎さんボブがすごい! 声を聴くまでは「何だこいつ」って思ってた矢崎さんボブが、第一声で「あれ? こいつすげえな?」ってなって、ちょっと聴いて「いやいやいや、待って待って」って首を振っていて、「いやまさかこんなすげえ奴いるわけが……」みたいな顔したあと、歌い終わる頃には「すっげえ! こいつすっげえ!! 俺、すごい奴に出会っちゃった!!」ってなってるからね? カメラも矢崎さんボブを抜いてくれていいのよ?
  • 矢崎さんボブが語るフランキーとの出会い、マジで良すぎる。運命の出会いだ……。こういうのに弱すぎる、好きです
  • 高音もいける東さんボブ、歌が上手えな!?(今更)
  • "Cry For Me"はあまりにもエモい。最強。好き。つよつよのつよって感じ。フランキーがコーラスするバージョンは、ミュージカル版までおあずけだけどなあ! ボブ2人のデュエットもこれはこれで好き!
  • 矢崎さんボブの「そう、エンジェルが泣いた」が、ちょっと雄みがあってカッコ良かった。このメドレー、自分が歌ってない間もノリノリで踊ってるのすっごい可愛い
  • 加藤さんクルーの根っこは優しそうな感じと、法月さんクルーの腹に一物ありそうな感じ、結構対照的だよね
  • 現場主任の話をする矢崎さんボブ、平泉成さんのモノマネしてた……?!
  • "Sherry"を思い付いてしまった2人のボブが、矢崎さんの方は飛び跳ねそうっていうかだいぶ興奮してるんだけど、東さんの方は意外に冷静で、やっぱり通してミュージカル版で観たいなあという思いはある
  • ほんとに、全世界が爆発しちまったよ……。あなたたちのせいで
  • 「夏」という季節との親和性が高い"Sherry"という曲、パワーが凄すぎる。全身で音を浴びると、音楽で滝行をしているような気分になる
  • 無観客配信では空っぽの客席が映っていたところで、実際に観客が入ってるのが映ると、ものすごいグッときた。応援する側の熱気も感じるし、あの人たちが応援されていたのだということをより一層感じられる
  • 客席みんな"Big Girls Don't Cry"のサビが踊れるの、さすが素晴らしいね
  • 2チームの印象としては、「外向きに個性が尖っている緑」「内向きにそれぞれが重なり合ってる黒」という感じ。華やかさで言えば緑の方が上だけど、一体感で言えば黒の方が上だし、清々しさで言えば緑の方が上で、あたたかさで言えば黒の方が上なので、何が言いたいかというと、どっちも素敵なのでやっぱりミュージカル版やろうぜ……、なあ…………
  • 中川さんのトワングが圧倒的なのは、わざわざ私が言及するまでもないとしても書いておきたいし、藤岡さんの音楽的技術のハイレベルさも強調しておきたい。あの人がいるだけであそこまで音がまとまるの、すごすぎる
  • 配信と違って重層的に音が伝わってくるの、やっぱり劇場っていいなと思わせてくれる。低音から高音まできっちりピースが嵌ってハーモニーが生まれる、これなんだよ
  • 矢崎さんボブの「パートナーシップを結ぼう」ってセリフの言い方、下心が1ミリもなくて、ただただフランキーに歌ってほしいっていうのが伝わってきてしんどい。そしてその返事の「乗った!」っていうフランキーのセリフもまた、純粋で混じり気がない
  • 今日のフランキーは、ちょっといたずらっ子みたいな目をするときがあるんだけど、基本はすごく真っ直ぐで打たれ弱くて寂しがり屋だったなと思った
  • 矢崎広が帝劇を縦横無尽に駆け回っている」という事実、あまりに尊すぎて眩しい
  • "Decemberr '63"のとき、照明がすっごいカラフルなんですよね。全体通してあの曲のときだけ。それだけ夢の世界だったんだな
  • 大音さんの高音! 綺麗!!
  • 矢崎さんボブのキラキラ笑顔が大好きでさ、大好きなんです。守りたいその笑顔
  • ガールズとよろしくやってるときの映像を見ている矢崎さんボブが、自分が映ったときに「見ないで!」って感じのジェスチャーをしてたのがまたキュンときちゃった……。可愛い。でもその割に、ニュートン物理学を引用しながら家族の話をするときは普通にゲス野郎すぎて「お前さあ」って思うんだよね。そういうギャップも含めて好きです
  • 東さんボブが歌う"My Eyes Adored You"、すっごい切なくて沁みる。大人だ……、酸いも甘いも分かる大人だ、ってなる
  • 「僕たちはザ・ビートルズのような社会現象ではなかった」から始まる一連のセリフ、好きだなあ。矢崎さんボブの地に足ついてる感も相まって、その素朴さや泥臭さが好き
  • 1回目は堂々と「夏です! 夏真っ盛りです!! 人生絶好調です!!」って感じの"Walk Like A Man"だけど、2回目は「もう夏は終わりました。あとは転落です」って感じの"Walk Like A Man"なの、本当にずるいよな。好きじゃないわけないじゃん。こんなに憎いリプライズもなかなかないぜ

  • ニックの影が薄いのは、物語上とても正しいんだけど、私がまだニックという人間についてうまく捉えられてないな。分からない、彼は何者なんだ……
  • そのせいで、フランキーが随分とニックにご執心な理由も分からないんだよね。まあ、実質トミーに対してブチギレてるところしか観てないから、そりゃそうかもしれないが
  • それでも、大山さんニックがいい人そうで、spiさんニックが気が強そうなのは分かる。大山さんニックは、実の子供に自分をおじさんだと思い込ませたとしても、それが最善だと信じてそうなところがちょっと怖いけど
  • "Big Man In Town"の歌い終わりで、フランキーと視線を交わす大山さんニック、そこに「何か」があると感じさせてくれてとても良い。ただ、その「何か」が実際何なのかが、まだ私にはつかめてない
  • 藤岡さんトミーで見せられると、「トミーも悪気があってロレインを寝取ったわけじゃないんだよ!」って言いたくなってしまうこの感じ。後先考えてないだけで、何らかの意図があってとった行動ではなさそう
  • 今日のspiさんニックによる"Beggin'"、圧が強くなかった? 怒ってたようにさえ聞こえた……
  • 藤岡さんとspiさん、同じチームでやったことあるんじゃないかって錯覚しそうになるね。映像の編集マジですごい。流れが自然すぎて、知らない人は気付かないと思う
  • 今年のコメント動画で、spiさんが「どうしようもない4人」っていう言い方をしていらしたけど、ほんとそれなんだよな(笑) こいつらどうしようもねえ、手が付けられねえ
  • キレてるんだけど捲し立てないspiさんニック。ふつふつと怒ってはいるんだけど、それをそのままぶつけてもしょうがないことは分かってる感じ
  • 藤岡さんトミーが不貞腐れてるのが可愛いと思ってる私は末期だろうか
  • spiさんニックが話し始めたところで止めようとするフランキー、じっと見てる矢崎さんボブ、不満そうな藤岡さんトミー。きっとみんなグループのことは大好きで、解散したくて集まってるわけじゃなくて、でもどうしようもなく噛み合わないんだなあ……
  • それにしても、ニックはむしろ10年もよく耐えたよ。もっと早く怒ってよかったでしょうに。そしてその異常さに気づかないトミーもだいぶおかしい。けどこれが事実なんだとしたら怖いな
  • 「有り得ない額の借金するし、タオルを全部使わなきゃ気が済まないし、洗面台をトイレ代わりにするし、フランキーにほとんど取り分を渡してない」と分かっていても、やっぱりトミーを嫌いになれないのは何なんだろう。愛嬌? 彼にも純真なところがあるって知ってるから?
  • 「俺がいなくなったことにも気付かずにやっていけるだろう」って言い残して去るspiさんニックの、怒ってはいるんだけどどこか後ろ髪を引かれるような、今ここで線引きをしなくちゃって決めているような、苦々しい表情がつらい……
  • 苦しい苦しい"Stay"。行かないでニック! でも同時に、「もう二度と戻らない」ということを瞬間的に理解してしまう曲でもある。覆水盆に返らず、なのだ
  • こうしてバラバラになってしまったグループで、それでもフランキーは歌い続ける。彼のいるところに音楽はある
  • "Let's Hang On"を聴くと、一気に「フランキー、年取ったな……」って思う。いい意味で。声も佇まいも熟成されてきてる。無垢な少年のままじゃいられない経験をたくさんしてきて、それがちゃんと音楽に表れてる

  • 持ち前の光属性パワーが、孤独の闇に打ち勝ててない。音楽が光であればあるほど、闇が際立つ。1人で歌うのは寂しいね、フランキー
  • あれだけひどい奴だとしても、フランキーはトミーを嫌いになんてなれないんだよね。だってお兄ちゃんだったものね
  • 7/18のフランキーは「寂しいなんて言うもんか! 俺は負けないぞ!」タイプで、7/19のフランキーは「寂しくないよ、だって僕にはボブがいるから」タイプだったなと思ってたけど、今日のフランキーは「寂しい……誰か助けて……僕はここだよ……」タイプでした。失ったものを探しながら彷徨っていた
  • でもこの冬が、音楽的には一番自由に伸び伸びやってる気がする。思うままに好き勝手やってる。少年時代のあの「天性の才能だけで伸び伸び歌ってる」感じとは違って、確かな技術に裏打ちされた自由さだけどね
  • 今日のフランキーはきっと、襲いくる闇を跳ね除けようとしてたんじゃなくて、受け入れて共存しようとしてたんだと思う。"C'mon Marianne"も"Can't Take My Eyes Off You"も
  • 「この曲は僕が出す」ってキッパリ言い切る矢崎さんボブ、これぞフランキーの相棒って感じで好きだ
  • "Can't Take My Eyes Off You"のあの前奏が始まって、下手側から一歩一歩踏みしめながら登場するフランキー、すっごいカッコ良すぎた。風格がヤバい。覇者
  • あれ、こんなに「苦しいけどそこに希望はあるよ」って歌だったっけ? って不思議に思うくらい、フランキーの苦悩と強さとが見える"Can't Take My Eyes Off You"でした。何十回も聴いてるけど、毎回新鮮な驚きと感動をくれる。あの人はやっぱりすごい人だよ
  • 完全にショーストップ。そして本当に嬉しそうに拍手喝采を浴びているフランキーが愛おしい。公演できて良かったよ……、素晴らしいよこの光景
  • 帝劇にミラーボールが灯っているのを見るの、初めてかも。良いものだね。絶対的王者が光を放つために存在していた空間だった
  • 今日は全体的に、歌もセリフもあまり後ろにためることなくサラッといったので、逆に寂しさを感じる。強がることすらできないんだなあ。フランキーの心にぽっかり開いてる穴があって、でも本人はその大きさに気付いてないみたい。あるいは意図的に蓋をしてるのか
  • 上手く言えないんだけど、音楽を抱きしめるような歌い方するよね。本当に歌が好きで、音楽が好きで、伝えることが好きで、そこに立っていてくれるんだなって思う
  • "Workin' My Way Back To You"の振りが何とも微妙にダサいのを見ると、フランキーは随分おじさんになったなって思うね(笑) それだけ中川さんの演技がすごいってことだよ!
  • 「気分がいい、歌もいい」の韻の踏み方がやたら好きだったりする
  • ここのセリフのフランキーが、老成してきて達観している様子も確かにありつつ、時折少年時代のぽやっとした笑顔を見せるのが、すっごい胸にきた。どんなに色んな経験をしても、波乱万丈の人生を送っても、純粋に音楽を愛する気持ちはずっと失ってないんだなって思った
  • そう、夜はいつか終わるし昼もいつか終わる。全てのことはいつか終わるんだ。良いことも、悪いことも
  • この「フランシーヌが……」のところは、全部フランキーにもっていかれて、文字通り目が釘付けってやつです。あああああつらいねフランキー! って叫びたい。感情を言語化できないまま、ただただ立ち尽くしているフランキーが本当につらい。でもそんな中川さんの悲しみの表現が好き
  • 中川晃教 as フランキー・ヴァリ、神なのでは? あるいは天使か? あなたは本当にこの世の存在か? 人智を越えてませんか?
  • "Fallen Angel"……。あまりに歌が上手すぎると人は神になるのだな、と思わされてしまった。この世に泰平をもたらしそうな歌でした。鎮魂歌としてあまりにも上質すぎるよ。悲しみも苦しみも全部抱きとめて、明日への活力に変えてしまうんだもの
  • 歌い終わって捌けるときに、まるでフランキーが天界に帰っていくかのように思えた。照明がまた憎いんだこれが。日が落ちる直前の、波長が短くてギラっとした色で焦げそうな温度の中に、確かな温もりと優しさと一抹の寂寞を感じる光なんだよ
  • フランキーのソロをたくさん聴いた後で4人(7人)のセッションを聴くと、「帰ってきたー!」ってなるね。まさに再会。4人の再会であり、観客とグループの再会でもある
  • 藤岡さんトミーがフランシーヌの話をしてるのを見てると「随分と丸くなったけど、良い意味での子供っぽさが消えたわけじゃないな」って思うし、それにちゃんと目を見て返事をするフランキーからは「傷は時間が癒してくれるけど、絆は時間で消えたりしない」って思う。最高の再会すぎる
  • この「ありがとう、トミー」は、回によってうっすら笑ったり笑わなかったりするんだけど、どっちもすごくいい。トミーが大好きなんだなって再確認する
  • 「同じ部屋なの?!」ってびっくりしてる東さんボブが、妙にあどけなくて好き
  • 自分用のタオル持ってくるニック、可愛いな
  • 4人のモノローグを聴くとしみじみしちゃうね。まさに「4つの生涯」があってここまできたんだなって。みんなそれぞれすごい人生を歩んでる
  • トミーがいなかったらこの話は始まらないので、ああやって何かを始めようとするエネルギーは本当に尊敬する。そして彼はいつもムードメーカーだったし、グループのエンジンみたいなものだったな。そりゃ無茶苦茶で破天荒で迷惑な奴だけど、悪い人ではないのだよね
  • そしてボブ。この2人の「お互いがお互いを自分だと思ってる感」が好き。自分が話してるところをもう1人の自分が見ながら「うんうん」って頷いてるの
  • この話、結局真っ当に生きたのはボブだけなので、本当に苦労したね、よく頑張ったねって言いたくなる。そしてボートの上でまったりする老後が送れて良かったね。最後までキラキラ笑ってて、いい具合に自信家なところも好きだよ
  • あとやっぱり、ボブがフランキー大好きなのがしんどいね。ちょっと一方通行にも見えるけど
  • ニックは大人だな。ちょっと離れたところから静かに見ている。何で辞めようと決めたのか、多くを語らなかった彼が初めて話す「家に帰りたかった」って話は、「そうだったのか」って謎が解けるような感覚の一方で、「そうだよね」って共感できるところもある
  • でも未練たらたらなんだよな。わざわざフランキーが歌うところを見に行って、一緒に歌うんだもん。今なら軽いstk扱いされますよそれ
  • フランキーが探してる"home"は「音楽」だけど、ニックがほしかった"home"は「安らげる場所」なんだろう
  • ニックは、裏取引は水に流せるし、トミーの横暴さにも目を瞑れるのに、自分が目立たないのは我慢ならないんだなあ。ここらへんが、私がニックをイマイチ分からない理由な気がする
  • 外側から見ていると、きっとこのグループの変遷って謎だらけで、いつの間にか分裂していつの間にか違う人が入って、みたいな感じだったんだろうな。私はそれを内側から見ているから不思議に思わないだけで
  • 音楽って何なんだろう……
  • ニックの「『家』に帰りたかった」、フランキーの「君に『家庭』と『家族』があるなら、僕よりはるかにもってるってこと」「音楽を追いかけて、『家』にたどり着こうとして」。キーワードは『家』だろうなとは思うんだけど、まだ私の頭の中でつながってない。考えていればいつか分かるのか、それとも経験を積めば分かるのか、いつまでも分からないままなのか分からないけど、いつか分かりたい
  • 電池で動くウサギを指でやって見せて、「カシャン、カシャン」って音も言いながら「こんな感じかな?」って訊くフランキー、不意打ちで可愛すぎた。そういう無邪気さも好きなんです
  • 元々別にミュージカルの締めに使うために作られた曲じゃないはずなんですが、こう「色んなことがあったけど、いい話だったね!」でまとめるのに似合ってしまう"Who Loves You"。華々しい集大成であり、潔い終わりだなと思う。後腐れはなく、大輪の花火のような儚ささえある

カーテンコール

  • 話がスッと綺麗に終わるからか、皆さんカテコが素なのいいよね。あんまり役を引きずってない
  • キャスト全員のお名前を呼んで、バンドメンバーの紹介もして、っていうのは、コンサートっぽくて好き。ミュージカルらしくはないけど、全員が1つのカンパニーなんだって思えるし
  • キャスト紹介の担当が中川さんなのは、座長なので順当だけど、中川さんの紹介をするのが藤岡さんなのは、そこに意図しか感じないので好きです。推されている……
  • "Can't Take My Eyes Off You"が中川さんと藤岡さんのデュエットなのが幸せでたまらない。しかも「事前に打ち合わせをして音を決めてるのではなく、そのときその場で生まれたものが感情のままに音に乗ってる」タイプの音楽だよねあれ。好き。大好き。ここを『家』と呼べるんじゃないかと思うくらい好き
  • 中川さんが"You're just too good to be true"って歌い始めたときは、わざと大柄な大山さん・東さんの影に隠れていた藤岡さんが、絶妙なタイミングでバンと出ていってハモりを入れたときは、あまりの可愛さと音楽の美しさに息が詰まってしまった
  • 今日の挨拶は、中川さんから「お客さんの前で演れて嬉しいです! 本当に奇跡だと思います! ありがとう!」というお話と、拍手を自在に操る尾上さんと、それにちょこちょこ嬉しそうにツッコんでる藤岡さんでした。中川さん&藤岡さんが自由人(別名・やりたい放題)なのは知ってたけど、尾上さんもだいぶフリーダムだね。いいね、私はそういう役者さんが好きだよ
  • というか、舞台の上で物怖じせずに何でもやれる役者さんが好きなので、中川さんや藤岡さんはもちろん、ボブsやニックsがかなりはっちゃけてるのを観るのも大好き
  • ラスト、2階後方まで届く、綺麗で力強い肉声で「ありがとうございました!」って仰った中川さん、すごく格好良かった。すごく。神々しかった

総括して

  • 2時間で、4人(7人)がしっかり人生を生きたことが追体験できるから、それがものすごく重く響いてきて、「人生……これが人生…………(語彙力)」ってなる
  • 映像が随所でいい仕事するし、照明も素敵だったな。阿部さんジップ……!
  • 衣装は本公演に比べてシンプルで数も少ないけど、上品だしこれはこれで好き。東さんの足が長すぎてタキシードが似合いすぎるのが良かった
  • 普段は何だかんだ色々言ったりしますけど、私はこの作品すごい好きなんだなって思った。音楽も、物語としても
  • 今年は本当に色々なことがあったけど、上演まで漕ぎつけてただただ良かった。たくさんの方々の誠意と情熱に支えられて、ここまできたよね。ありがとうございます。そして、ソーシャルディスタンスが必要なくなった暁には、ぜひミュージカル版も観せてください! お願いします!!

余談

  • 今読み返したらめちゃくちゃ冬が長くて笑った、あの人のオタクなので許してください
  • 中川さんと藤岡さんを並行して推してきた身としては、この"JERSEY BOYS"が「フランキーとトミー」の物語なのか「中川晃教藤岡正明」の物語なのか分からなくなりそうなくらい、2人はフランキーとトミーみたいなところあるよねって思います。もちろんこの人たちは全くクズではないけど! このお2人がまたこの作品に出てくださったのが本当に嬉しい
  • 私が中川さんの声に最初に惚れ込んだのがこの"JERSEY BOYS"という作品の初演PVだったので、やっと原点に帰ってこれた気もして感慨深い。何度も書くけど本当に嬉しい

強がりすぎないで、っていうのはオタクの言うことじゃないと思った

前置き

  • 推しに「強がりすぎないで」って言いたかった話と、実際それを言うのはやめておこうと思った話
  • ここの前半に書いてるようなことを、ちゃんと私の中で昇華した上で100枚くらいオブラートに包んで本人宛の手紙に書こうかとも考えたんですが、そもそも上手くまとまらないし、やっぱりオタクの分際で言うことじゃないと思うので、備忘録的にここに残しておきます

本題

主演舞台が2本続けて吹っ飛んでしまって、推しに対して何と言葉をかけたらいいのか分かりません。片方(以下、作品A)は、最後まで通しで稽古がついていて、あとは劇場入りという段階だったと聞いています。一方でもう片方(以下、作品B)は、稽古すら始まっていない段階での中止決定。状況は大きく違いますが、どちらもおつらいことに変わりはないだろうなと想像しています。

私は、推しは基本的にはすごく前向きな人で、過ぎたことを考えるより次どうするかを考えるタイプなんだろうなと勝手に思っています。私たち観客に向けて何かを発信されるときにも、あまりネガティブな言葉を使わないように配慮されているように感じます。それがメディアの取材でも、カテコの挨拶でも、コンサートのMCでも、Twitterでも、FC会員向けのコンテンツであっても、区別なく。

それはとてもありがたいことです。何度も何度も、そのしなやかな強さに助けられてきました。そうやってしっかり立っていて下さることが、私にとっての1つの希望でもありました。

でも今、その強さの裏に大変な苦しみや悲しみが潜んでいるように感じる瞬間が多くて、無理してるんじゃないかな、って思うことが増えました。作品Aに寄せられた動画でのコメントも、作品Bの中止を受けての発言も、ポジティブな内容に反してどこか影があるように思えて、勝手に心配しています。

もちろん、こんなことになってしまって、推しが落ち込んでいないとは全く思っていないし、つらそうな姿を見せるなと言いたいわけではありません。逆です。落ち込んでいていいんです。心血を注いでやってきたことが自分以外のどうしようもない要因のせいで中止になってしまったら、どこに気持ちを持っていったらいいのか分からなくなって当然だと思います。特に作品Bは、推し自身にとってとても思い入れのある作品だと常々仰っていただけに、尚更。

だから、無理に笑ったり、つらい気持ちをこらえてポジティブなことを言ったりしなくていいんじゃないの、って言いたいです。強がりすぎないでねってことです。いつもいつも必ず前だけを見ていてほしいと思ってるわけじゃないので。泣きたいときは泣いていいし、悲しいときは悲しいって言っても大丈夫ですよ。

それでも、強くありたいと願い、実際強くあることが、推しのプライドなんだろうな、とも思います。こんなときだからこそ明るい歌を歌いたいと思ってくださることや、ピアノを弾きながら楽しそうに歌ってくださることも、1人のアーティストとしての矜恃なんじゃないかなあ、とも。そういう自負があることを否定する気は毛頭ないです。ただ、それでかえって自分の首を絞めているようにも見えて、ちょっと複雑なだけです。

そうやって自分に厳しいところも、尊敬してるし好きなんですけどね。今はどうにも、脳内お花畑で「すごーい!」って言ってもいられないなあと思ってしまいます。とはいえ、こちら側には見せないところで、ちゃんと苦しいことは苦しいって言えてるならそれでいいかな。悲しそうな顔が見たいってことでも決してないですし。(それどんな屈折した愛情? 推しには笑っていてほしいよ私は。)

ということで、結論としては、強がりすぎないでねって言いたかったなあってことです。以上、この話は終わり。


ところで、この話を本人宛に手紙に書こうとしてやめたってことは上にも書きましたが、実際、こういうことを考えてるときって、本人に伝えるべきかやめておくべきか迷いません? 私の場合はまず言わないんですけど、言う人は言ってるでしょうし。

この話の場合は、一見推しのことを思いやって書いてるようにも見えるかもしれませんが、突き詰めていけば結局「あなたが無理してるのを見ている私がつらいのでやめてください」って言ってるだけにすぎなくて、それってただのわがままなんじゃないかって思うんですよ。極端に言えば、「私はあなたの顔を見たくないので公の場に出てこないでください」って言うのと同じようなものな気がします。推しに対して一方的に要望をぶつけるって点において。

あと、単にめちゃくちゃ余計なお世話ですよね。この推し、私より遥かに年上だし、しっかりしてるし、こんな生意気な小僧に心配なんざされたくねえだろうなって思ってます。すぐ推しの心配をする癖、本当に良くない。

とにかく、言いたいって思う人がそれを実行するのを止める気はないし、言いたければ(最低限表現には気をつけて)推しに伝えてあげればいいと思うんだけど、私自身はやっぱりそれを言うのは気が引けてしまいます。

そう、私は所詮オタクですからね。これが推しの家族や友達や仕事上の関係者だったらまた話は違うんでしょうが、私はただのオタクでしかない。推しの側は私を知らなくて、こっちがただ勝手に追いかけてるだけですから。そんな相手から手紙が届くってだけでちょっとしたホラーなのに、その中に「〜〜してください」って書いてあったら、そりゃ困惑して気持ち悪がるだろうなとしか思えないんですよ。仮にそこまでの拒絶感じゃなかったとしても、その意見をありがたがるわけもないし。

だからいつも手紙には「○○のシーンの演技に心を動かされました」とか「□□(曲名)が好きでずっと聴いてます」とか「次の△△(イベント名)も楽しみです」みたいなことしか書かないです。というか書けないでいます。

この辺、推しとの関係性によっても全然違うだろうし、個人の考え方によってもまた様々だと思うので、よかったら、僕・私はこうだよ〜みたいなの教えてください。聞きたい、隣の推し事情&お手紙事情。

というわけで、今度こそ本当に終わりです。ここまで読んでくださった方がいるのなら、お付き合いありがとうございました。

ミュージカル「フランケンシュタイン」再演を観た雑記

前置き

  • ミュージカル「フランケンシュタイン」を(初演は未見で)再演で7回も観た人間の戯言です。全ペア制覇したぞ!
    • 2020.01.08 ソワレ あきかず(初日)
    • 2020.01.11 ソワレ あきこに(組み合わせ初日)
    • 2020.01.13 マチネ かきかず
    • 2020.01.13 ソワレ あきこに
    • 2020.01.17 ソワレ あきかず
    • 2020.01.23 ソワレ あきかず
    • 2020.01.30 マチネ かきこに(東京千秋楽)
  • 私自身が中川さんのファンなので、そのつもりはないですが贔屓してるように見えるんじゃないかと思います
  • ネタバレには配慮はありません。でもあらすじ解説もしてません。ただの雑記です

キャストさんに関して

中川晃教さん as ビクター/ジャック

  • 待ってた、この歌が聴きたかった。どうしようもなく歌唱力でボッコボコにしてくるこの人が好きです。殴られるのが気持ち良すぎる
  • しかも歌だけじゃない! 演技もものすごく緻密に作り込まれていて、たとえ歌を封じられたとしても十二分に俳優として通用するお方です。もちろん歌ってほしいけど笑
  • ビクターは、回によって匙加減は全然違うけど、他人との関わりを絶っている狂人が、たまにアンリによって心を動かされて人間らしいところを見せるという感じ
  • 中川さんビクターのここが好き選手権
    • アンリに触れるときの優しい手つき
    • 愛と希望を失わない強さ
    • 夢を語るときの恐ろしいほどの純真さ
    • 本当に神と会話してそうなところ
    • 弱ってるときもそれを悟られまいと歯を食いしばってる脆さ
    • 甘えるのが下手なところ
    • 生命創造にかける熱意と親友への感情のアンバランスさ
    • 自分の気持ちにも他人の気持ちにも鈍感なところ
    • 無垢な猪突猛進さ
    • たまに見せるギラッとした瞳の尊大さ
  • ジャックは可愛い小心者。エヴァの尻に敷かれる恐妻家。柿澤さんに比べると相当マイルド
  • 中川さんジャックのここが好き選手権
    • エヴァに手綱を握られてる小物感
    • トサカを見せびらかしてくるところ
    • エヴァ以外の人に手を出してなさそうで、夫婦仲が良さそうなところ
    • 歌うのがめちゃめちゃ楽しそうなところ
    • 自分なりに人生を謳歌してそうなところ

柿澤勇人さん as ビクター/ジャック

  • 兎にも角にも演技がお上手! すっごい引き込まれて自分でもびっくり。一挙一動に泣けるレベル
  • 歌もすごい。中川さんを神の歌声と言うなら、柿澤さんはリアリティーのある歌声。彼が泣いてると私も泣いちゃう
  • ビクターは、ちょっと変わってるだけの人間が夢に固執して神の領域に手を伸ばしてしまった結果、転落して悲劇に満ちた人生を送るという印象。普通の人間と狂った科学者との切り替えが見事
  • 柿澤さんビクターのここが好き選手権
    • ぐしゃぐしゃに泣いてるときの守ってあげたくなる感じ
    • スイッチが入っちゃったときのマッドっぷり
    • ちゃんと適切な自己肯定感がありそうなところ
    • 人間として社会生活が送れている真っ当さ
    • 反省も後悔もしてるところ
    • 甘えたり弱みを見せたりするのが上手なところ
    • 意外と周りが見えてる冷静さ
    • 支えてくれる人がいないと消えてしまいそうな儚さ
    • 世間一般の常識や倫理観を理解しているところ
  • ジャックは隅から隅までひどいやつ! 怪物以上に全く心がない。怖い……
  • 柿澤さんジャックのここが好き選手権
    • とんでもなく冷たくて、えげつないことが平気でできるところ
    • 全てを自分の手中に納め、ステッキ一本で動かしてそうな感じ
    • 自分が他人からどう見えるか完璧に分かってやってるところ
    • 自己愛が強そうなところ

加藤和樹さん as アンリ/怪物

  • 死ぬ役苦しむ役ばっかりなのどうにかしてほしい笑 好きだけど!
  • 体格はがっしりってわけでもないのに、貫禄がすごい。綺麗に一本筋が通ってるのがよく見える演技でした
  • アンリは頭がおかしい(褒めてる)。ビクターに出会うまでは世の中の全てに大した興味がなかったのに、ビクターに惚れ込んで一気に狂信者になっていく。頭がおかしい(二度目)
  • 和樹さんアンリのここが好き選手権
    • 意志が強くて、一度こうと決めたら揺らがないところ
    • 懐がめっちゃ広くて、ビクターを甘やかすのが上手いところ
    • ビクターのためなら迷いなく文字通り何でもできてしまうところ
    • 夢を見てるときのキラキラした瞳
    • 紳士然とした雰囲気とスマートさ
    • どっしり構えていてくれるところ
    • ビクターと同じ場所に立って同じ景色を見ているところ
  • 怪物からは、厭世的な雰囲気を感じる。行動原理は「怒り」
  • 和樹さん怪物のここが好き選手権
    • 混じり気のない心で人を信じようとしたこと
    • ちゃんと自分の感情表現ができるところ
    • 最初は本能しかなかったのに理性が育ってくる過程を見せつけてくるところ
    • 目標がはっきりしていて割り切っているところ
    • メンタルも意志も強くて太いところ

小西遼生さん as アンリ/怪物

  • 演技の説得力がすごい
  • 歌は、ゴリゴリパワーで押してくる感じじゃなくて、色気があって不思議と聴き入っちゃう魅力がありました。素敵。声もいい
  • アンリは、ちょっぴり陰はあるけど平凡な人。ビクターへの依存がすごい。ビクターが死んだら後追い自殺しそうなくらい、ビクターが人生の全て
  • 小西さんアンリのここが好き選手権
    • 人間関係において不器用そうなところ
    • 思ってることをなかなか表に出せずに溜め込んでるところ
    • 全身でビクターと向き合って喜怒哀楽を共有してくれる真面目さ
    • ビクターに対して常に一歩引いていて、自分はサポート役だと思っている謙虚さ
    • 頼りないけど精一杯頑張って生きてるところ
    • 自分より他人を優先してしまう控えめなところ
    • 出会った相手と環境が悪かっただけで、もっと平和なところに生まれていたら幸せな人生を送っていそうなところ
  • 怪物は、頭が良いし根は優しい。行動原理は「承認欲求」
  • 小西さん怪物のここが好き選手権
    • 争いを好まない、穏やかな性格
    • 思慮深くて、感情の赴くままに行動しないところ
    • 自分とビクター・アンリが犯した罪に胸を痛めているところ
    • 情に厚く、精神年齢がすごく高く感じられるところ
    • 今にもポキッと折れてわんわん泣いてしまいそうな脆さ
  • 次に拝見するのは、某名作映画のミュージカル化の再演でしょうか……

音月桂さん as ジュリア/カトリーヌ

  • 低音の迫力に痺れた〜
  • ジュリアは、怖いぐらいビクターが大好きで、頭がおかしいぐらい肝が座ってる。あんまりにもブレなさすぎて逆に不安になるやつ
  • カトリーヌは、生きるのが嫌そうなのに生きることに執着してしまうところに説得力があって、同情はできないけどすごく理解はできた

露崎春女さん as エレン/エヴァ

  • 初めましてでした。これが初ミュージカルかつプリンシパル唯一のキャストチェンジということで、初日は特に緊張されていたようでしたが、日に日に強火になっていったのが印象的でした
  • エレンは、ちょっと気が弱そうな普通のお姉さん。ビクターのことは肉親として大切に思ってて、常識とか倫理観とかは至って標準的
  • エヴァは、中川さんジャックの回はめっちゃ貫禄のある大悪党って感じで、柿澤さんジャックの回はちょっと弾けちゃった小悪党って感じ

鈴木壮麻さん as ルンゲ/イゴール

  • 軽くするところと重くするところのバランス感覚が実に素敵。あとめちゃくちゃ声がお綺麗だし歌もお上手。ソロナンバーほしかったなあ
  • ルンゲは、唯一と言っていいコミカル担当でもあり、ビクターの側近なのに理解者ではなく信者で、彼なりに一生懸命生きてるのがよく分かった。すごくいい人
  • イゴールはとにかく毎日が楽しそう

相島一之さん as ステファン/フェルナンド

  • 初めましてでした。歌はもうちょい何とかならなかったのかと思わないでもないけれど、演技は文句なしに素晴らしい
  • ステファンは子煩悩で、彼なりに最善を尽くしてるはずなのに裏目に出ちゃうというちょっと可哀想な人
  • フェルナンドはずる賢いし自分の利益しか考えてないけど、どこか抜けてる妙にアホの子

衣装・照明など演出に関して

  • ビクターの袖をカフスボタンで留めた人は天才です(性癖)
  • ビクターの白いスーツが見られたのも良かった。こういう上品で気位の高い白い衣装本当に好き。この衣装の舞台写真くださいって何度かアンケに書いたけど実現しなかったのが寂しい
  • そもそも、衣装が全体的にすごく好み。ビクターの裸ネクタイは謎ファッションだけど、何か似合うから許せる
  • アンリのジャケット姿・ベスト姿が気品に満ちていて素敵
  • ジュリア、ずっと白い衣装なのにちゃんと何着も用意してくれてるのありがたいよね
  • エレンが吊られるときの人形感はハンパない、笑いそうになる
  • 北極が寒いところだってことぐらい知ってるでしょビクター! もっと防寒しなさいな
  • 二階じゃないと見えないんだけど、床に当たる照明がめちゃくちゃ綺麗。『孤独な少年の物語』の不気味な感じとか特に
  • ビクター/ジャックのイメージカラーである深緑の存在感。特に、『僕はなぜ?』『そこには…』で入る深緑の光ね。『そこには…』なんてビクターもジャックもいないのに、そこに生命の輝きを感じさせるのが深緑なんだよね
  • 『平和の時代』1回目と2回目でアンサンブルさんたちのお衣装がちゃんと変わってるのいいよね
  • 壊れた額縁の醸し出す「失敗作」感。全体通して破綻した物語なんだなって……

その他全般に関して

  • ここまで、観終わって「いいもの観た、いいもの観たんだけど何の話だったんだ……?」ってなる作品も珍しい。回によって結末は違うし、観た側に解釈を丸投げしてくるし、脚本が目指したのがどこだったのかよく分からないけど、残るものは確かにあるんだよ
  • すっごいざっくり言うと、私にとっては「死生観」「倫理観」の話だったなと思う。ぶっ飛んだ人がたくさん出てきて、色んな価値観を見せて去って行く感じ
  • 「生命創造の是非」については、私自身が「生命創造そのものは問題ない、死体を勝手に再利用してるのがダメ」って結論を出してしまっているのであんまり考えることはなかったけど、きっとそうじゃない人は多いだろうなと思う
  • ダブルキャストを比較しながらあーだこーだ考える、っていう、主催側が意図してたかどうか微妙な楽しみ方をしてましたね。このダブルで観られて本当に良かったなと思うし、この4人を選んできた人は流石
  • 曲は本当に全部大好きだなあ。中毒になる。初めてなのにオーバーチュアが流れるだけでもう泣きそうだったってのも結構ヤバい。もちろん二回目以降からはオーバーチュアがビクターの走馬灯なので落涙必至
  • 円盤出ることになってめちゃくちゃ助かった! こうして感想書いてる間にもまた観たい欲が高まる

場面ごとの感想

実験室:怪物誕生

  • 初めて観たときは、このシーンから始まるんだ! ってびっくりしたな
  • 狂人モードのビクターなので、ここに至るまでの流れなしにいきなりこの場面をやるのは結構大変そうだなー、なんていらん心配したり笑
  • ビクター役お二方の方向性の違いはもうここの時点で見えますね。中川さんビクターは冷静に祈る系だけど、柿澤さんビクターは半狂乱
  • そして何と言っても怪物の不気味さ。人間なのに人間じゃない、それなのに獣と呼び捨てることにも抵抗がある、何か不可思議な生き物だなあと思う

戦場:『ワーテルロー』〜出会い

  • 禍々しい戦争の匂い。「いつか神が裁き下すぞ」って人々は分かってんのに戦争は止められないんだよね……
  • 「戦場において無駄な希望はもう一つの敵だ」は、悲しいけど正論だと思う。敵を助けてたら味方の損害が増えかねない。でもわざわざスパイとして撃ち殺すほどかと言われると疑問だけどな
  • アンリの「命は大事だ 敵であっても」「良心はないのか」「救えたのに」「罪は何なのだ」「なぜスパイなのだ」「ない、殺せばいい」、どれもどこか達観していて、生きていたい気持ちはないんだけど積極的に死にたいわけでもないからとりあえず生きてる、みたいなアンリがよく見える場面
  • ビクターが「アンリ・デュプレ!」って呼んで、まるで時間が止まったみたいに全てが静まりかえって、ビクターとアンリが出会って「あ〜出会っちゃった〜!」ってなるのがいいよね。アンリが「こいつ誰」みたいな顔してるのに、ビクターが一人で嬉しそうにしてるのもすごくいい。あの空気感好き
  • 「誰だ」って言われてビクターは怒らないのにルンゲさんが気色ばんでるのが、ちょっと過保護な執事さんって感じで好き

研究所:『ただ一つの未来』〜将軍との話

  • 単純に曲調という意味では、この曲が一番好きかもしれない
  • 歌詞はともかくとして、二人の人間が意見を戦わせた末に合意する、っていう流れが一曲の中で表現されるのが本当に好き
  • 原詞のせいか訳詞のせいかは不明だけど、「複製する過程で遺伝子が変異した それが生命の正体」が本当に意味が分からないので補足するなり変えるなりしてほしい
  • ミュージカルらしい、二人のメロディーが違うデュエットもね。いいよね。ビクター「創造主になるのだ」アンリ「創造主になる」のとこ特にめちゃめちゃ好き
  • 「それが生命ふへんの掟」って「普遍」「不変」どっちなんだろう
  • 「誤った進化」も何を指してるのかよく分かんない。この歌、全体的に「それっぽい言葉を並べておけばそれっぽく聞こえそう」みたいな雰囲気を感じる
  • いつもビクターとアンリを追っちゃうからあんまりアンサンブルさん観れないんだけど、すごいキツそうだなあと思ってる。死体役特に……。円盤に入ってたら今度こそちゃんと観ます
  • 動く死体を見て、ビクターの夢に魅せられて、アンリがビクターの手を握っちゃうのが「ああ……うわあ……騙されちゃった……」とはなるんだけど、なぜかその気持ちも理解できないでもない不思議
  • ウェリントン将軍に対して、中川さんビクターは「用件は何ですか。将軍、戦争の終結を知らせるためにわざわざいらっしゃるとは思えませんが」、柿澤さんビクターは「用件は何ですか、将軍。戦争の終結を知らせるためにわざわざいらっしゃるとは思えませんが」なんだよね。中川さんビクターは不躾だし態度がでかいけど、柿澤さんビクターはちゃんと敬意を感じる。同じセリフでも言い方でここまで違う
  • ビクターの口から「パートナー」だけでなく「友よ」まで出る。友達認定が異様に早いビクター
  • でも「質問ですか、命令ですか」を咄嗟に返せるアンリも、ビクターには心を開いてるのよね
  • 初演のときはここの最後に『君夢』の一部と同じメロディーでアンリソロがあったと聞いて、何それ超観たかったってなってます。それ聴いてからだと『君夢』のしんどさ5割増しじゃないか……

ステファン邸:『平和の時代』〜『独り言』

  • 人々はもう二十年くらい前のことのはずなのにビクターが大嫌い。人一倍嫌悪感を隠そうとしない「お願いだからその話はしないでくださる?」って言ってる女性はウォルターのお母さん。あの町には、フランケンシュタイン一族のこと以外には噂するような話もないのかなあ
  • その割に懐かれ慕われているステファン市長。いや、慕われているというより、権力者だから持ち上げておこうという感じなのかもしれない
  • 「呪いの一族 神の御加護よあれ」っていう歌詞、最初は「フランケンシュタイン一族に神の御加護を」だと解釈して「人々、意外と優しいじゃん」って思ってたけど、「フランケンシュタイン一族の呪いが私たちに及ばないようにお守りください」なんじゃないかって気付いて、「やっぱ人々非情だわ」って思った
  • ジュリアと再会するビクター、そんなに長いことジュリアが自分のことを想ってくれてるなんて考えたこともなかったんだろうな
  • ビクターが鍵を持ってくるとき、静かにそーっと持ってくるときもあれば、わざとジャラジャラ鳴らしてるときもある。後者の方が子供っぽく怒ってる感じがするよね
  • 相変わらずのビクターに手を焼くステファンおじさん。実の子でもないのにここまで情をもって接してくれてる時点で相当いい人なんだろうなとは思う
  • 「甥のビクターが失礼を〜」って市長が謝ったとき、ウォルターが「いえとんでもない! うれしかったです!」みたいなこと言ってたのがツボ。何でビクターにハマったか分かんないけどその元気いっぱいなままでいてほしい(※葬儀屋に殺される)
  • ジュリアがエレンを呼ぶとき、呼び捨てなんだよね。オリジナルが敬称なしなのかもしれないけど、ルンゲさんのセリフはちゃんと「ジュリアお嬢様」とか「アンリ様」にしてるんだから、「エレンお姉様」にしてあげればよかったのに
  • ビクターへの気持ちがブレないジュリアが唯一ちょっと揺らぐのがこの『独り言』。「もしかしたら私の勝手な勘違いだったならどうしよう」って言うけど、「もしそうだったとしてもちゃんと惚れさせて見せる!」ってなる強さがすごい

実験室の前:『孤独な少年の物語』

  • エレンとしても、ビクターが部下じゃなくて研究仲間を連れて帰ってくるとは思ってなかったのかもしれない。だからこそ噂としてじゃなくきちんと「亡霊」の話をしようと決意したんだろうな
  • カラスのお面だけで「取り憑かれちゃってる」になるの、思考回路が雑すぎて怖い。でも噂は立ってしまったらおしまいだっていうのはよく分かる
  • 母の死に際にそばにいる執事がルンゲさんじゃないの変だなーと思ってたんだけど、あれはビクターのじゃなくて父か母の執事なのかな
  • リトビク、焼けた死体を母だと認識し連れ帰って服を着せてベッドに横たえるわけだから、すごく頭いいよね
  • ビクターからしたら、「母は病気で死んだ」けど「父は自分を助けようとして死んだ」わけで、より責任を感じたり生き返らせたりしたくなりそうなのは父の方じゃないかなって思うけど、そこにも何かあったんだろうな。父は仕事ばっかりで全然構ってくれなかったとか
  • 犬を生き返らせて、得意げに「生命有機の結合 細胞電気に反応 死亡は一時の放電 充電でき得る生命 老廃物中和させる血管 腐乱死体にも適用可能 ただし脳に残る損傷リスク」って歌い上げるリトビクに対する大人たちの反応が面白い。ステファンおじさん→恐ろしいものを見てしまって怒っている、エレン→弟だと思っていた子が得体の知れない人になってしまったけど愛情は変わらない、ルンゲさん→最初はびっくりするけど坊っちゃんのためならなんでも肯定しようと決意する
  • 「ただ坊っちゃまは お嬢様に」の後、ルンゲさんはエレンに遮られなかったら何を言うつもりだったんだろうな
  • ビクターの「亡霊」を聴かされてなお、過度に可哀想がることも敬遠することもなくただ友達でいてくれるアンリ、あまりに人間が出来すぎている……
  • 脳が燃えてしまって、ビクターは衝動的に飛び出して行っちゃうけど、ルンゲさんはその後片付けをした上で、雰囲気が重くならないように「私の髪が〜!」って言ってくれてるんだと思うと……。本当にいい執事さんだよねルンゲさん
  • エレンもこの時点ではビクターが死体を使って実験をしていることを知っているわけで、止めるならこのときに止めといてあげてよって感じだよね。アンリの首に手を出す前にさ
  • というか、ビクターの実験内容を知ってエレンが驚かないのちょっと変じゃない?

酒場:『1杯の酒に人生を込めて』〜リプライズ

  • ビクターとアンリの関係性が4組それぞれ違うことがよく見える場面
  • でもどのビクターも両方のアンリにあやされてる。赤ちゃん
  • アンサンブルさんたちのダンスが毎回本当に楽しそうだしソロパートもあったりして、でもビクターもアンリも見たいから目が足りない笑
  • 「難しいこと考えすぎさ たまに自分をサボっちゃいなよ」「注げ酒を 満たしたら飲み干せ 生きてるんだ酔って歌い叫ぼう」って歌詞がいい。束の間のほっこりシーン。まあ、「サボる」って言葉はこの時代には合わない気がするけど
  • このシーンがなかったら、アンリはビクターのために死ぬとこまでいかないんだろうな
  • 実験のためとはいえ墓を掘り返すなよ……
  • アンリ、支払いちょろまかす気満々だし、呼び止められても「あーバレた?」って感じなの可愛いよね
  • 有り金全部渡すことになっちゃうルンゲさん、可哀想に

広場&ビクターの部屋:『殺人者』〜『僕はなぜ?』

  • 「あ〜人殺し〜」って物騒なことを言ってるのに、メロディーが軽妙なせいで楽しい気分になりそう(ならない)
  • 人々が野蛮すぎるシーンその1。人を2人殺したぐらいじゃ死刑にはならんだろうよ。でもなぜかアンリもエレンも人々も死刑になると決め付けてる
  • アンリ役のお二方がめちゃくちゃ対照的。セリフは同じだけど、すっぱり死ぬ気でいる和樹さんアンリと死にたくない小西さんアンリ
  • ルンゲさんは悪くないよ……。悪いのは葬儀屋と結果的に人を殺してしまったビクターだよ
  • 事の顛末を聞いたジュリアが発するのが「神様……!」なんだよね。神ならビクターを守ってくれると思ってる
  • エレンが「望むもの全てを手に入れる 恐ろしい頭だ」みたいなこと言ってるけど、前例があるのか……?
  • というか、エレンがビクターを庇わないことに驚いたな。身内から犯罪者を出すことと冤罪で人が死ぬこととを比べて、後者の方が圧倒的に悪いことだって判断したってことだもんね
  • 葬儀屋の所業にキレたビクターが、アンリが自分の身代わりになったことにはキレないの、やっぱり違和感
  • ルンゲさん、ずっと「アンリ様」って呼んでるのに一回だけ呼び捨てにするの変だよ
  • エレンはビクターを責めるけど、ジュリアとルンゲさんはビクターの決断に丸投げ。これが3人のビクターへの接し方であり、愛し方なんだよね
  • もしルンゲさんが、もっとエレンみたいに一般人に近い感覚をもっていて、ビクターが死体を再利用し始めたあたりで止めていてくれれば、ビクターはここまでしなかったのかもしれない。その意味では、ルンゲさんもこの一連の話に関して片棒を担いだ
  • 真摯に向き合って止めてくれる人がいなかったというのも、ビクターの悲劇の一つなんだろうな。まあ止めたところで聞きそうにはないけどな、どっちのビクターも
  • 『僕はなぜ?』の歌詞は今一度検討し直してほしいところではある
  • 「本当はすごくアンリの首が欲しいけど、倫理上それはマズいと思うからできない」って言ってるビクター、アンリがいなくなるというのがどういうことなのか全然分かってないのが怖い。もうあなたはアンリなしでは実験が続けられない体だというのに……
  • 「僕は殺人者」って歌い終わった瞬間にパッと場面が切り替わるところが好き。精神世界から現実に戻ってきた感じ
  • 医師ではない上に公権力であるステファン市長の発言が裁判に影響するの有り得ないし、何より即決すぎてヤバい。これじゃ裁判したうちにも入らんでしょ

刑務所&広場:『君の夢の中で』

  • これから死のうって人に「笑ってよ。ただ笑顔で見送ってくれないか」って言われたら、誰だって情緒不安定になるよね。それで「無理だよ。一体どうやって?」って訊いたら、返事が「運命だと思って」だもんな。そりゃ何も言えなくなるよな……。運命だと思ってみたところで笑えるわけないし
  • 「運命」って言葉、何度か出てくるけど、彼らにとって運命って何なんだろうね
  • 曲が本当に好き。美しいのに儚くて強いのに脆い、アンリのビクターへの想いを象徴するのにぴったりの曲
  • ビクターからしたら、あの日は良い研究者の一人をスカウトしに行っただけにすぎなくて、後からじわじわ大切な存在になったけど、アンリにしてみれば一瞬で命も人生も救われたわけで、「出会いの日」自体の重みはアンリの方が断然大きいんだよね。アンリのいい思い出の九割はあの出会いのことなんだろうな
  • 「泣いちゃだめだ 約束しろ 僕に何があっても夢諦めないと」って諭されて泣かずにいられる方がおかしい……
  • あんなべしょべしょに泣いてる面会者を見てもサクッと剥がして連れていく看守さんたち、大変そうなお仕事だなって思っちゃう
  • 「君が見せてくれた未来は ここで終わるけれど」ってさあ! 終わるんじゃなくて終わらせてるんでしょうあなたが!
  • 歌ってる途中で「死んでも後悔しない」から「死んでも僕は幸せ」にレベルアップするのヤバいでしょアンリさん。自分と別れるのが嫌で泣き喚いてる親友を見て覚悟を決めるんじゃないよ
  • 「勇気のなかった過去を消し去って」って、ビクターが実験に成功しなかったのは勇気がなかったからだって言ってるのか、アンリ自身が勇気がなくてビクターに首を提供できなかったって言ってるのかどっちなんだろう
  • 二人のアンリの死に際、全然違うけどどっちもすごい好きだ。苦しくてたまらないけど美しい

実験室:『偉大な生命創造の歴史が始まる』〜『また再び』

  • 言うまでもない難曲ビッグナンバーですが、お二人とも完璧に歌いこなしていて、改めてすごいなと。ただでさえ歌いづらいだろうに、さらにそこに複雑な感情が折り混ぜられていて、感動する歌詞じゃないのに感動しちゃう
  • お二人とも毎回全然雰囲気が違って面白かった。歌い出しから完全にイっちゃってるときもあれば、終始怖そうにしてるときもあったし、その狭間を行ったり来たりしてたりもした
  • 「さあ呼ぶがいい 俺を創造主と」って誰に言ってるんだろうな。神か、アンリか
  • 「恐怖は胸深く沈めて〜」って歌いながら「親友アンリ・デュプレの頭を最後の材料として〜」って日誌に書いてるわけでしょ? 意外と芯は冷静だよねビクター
  • あの鉄のベッドを冷たいとも思わないぐらい無我夢中で動いてるんだろうなあ……
  • 「神よ祝福を さもなくば いっそ呪いをかけろ」って、都合の良いときだけ神頼みするんじゃないよ。あなた、神は我々に呪いをかける存在って言ってたじゃない
  • 自分の苗字を高らかに歌い上げながらコートを脱ぐの、冷静に考えると滑稽な気がするんだけど、観てるときは格好良く見えるのよね
  • 「殺人 戦争 テロ」で突然『ただ一つの未来』と繋がるので一瞬頭がついていかないよね。あの歌の後、しばらくそういう話しないじゃない……
  • でも、「迷信 宗教 デマ」は両親やアンリを間接的に殺した民衆に対して言ってるように思う
  • ビクターの言う「天才たち」って誰よ。この瞬間だけは自分が一番天才だと思ってそうなビクターがこう言うの、変な感じ
  • あと突然の厨二病発揮ね笑 カッコつけて威勢よくいかないと折れそうなのは分かるんだけど、言葉選びがどうにも胡散臭いよね
  • 「さあ立ち上がり 見ろこの世界」、こんな世の中嫌だよ〜って言ってるビクターがこの世界を見ろとは言わなそう
  • アンリの生命を「地獄を抜け出て来た愛しき魂」と呼んでいるとすれば、「地獄」=「死後の世界」なのかな。そして殺そうとするときに「友よ許せ地獄へ行け」になる
  • 「蘇るのだ」ってことは、結局生命をゼロから創造する実験じゃないんだよなあこれ。一旦活動停止してしまったものを再び動かす実験。だから「死亡は一時の放電 充電でき得る生命」とは繋がるんだけど、「複製する過程で遺伝子が変異した それが生命の正体」とはやっぱり繋がらない
  • でもまあ何だかんだ言っても、この曲すごい強いし好きなんですけどね。ここまでの流れを忘れて曲として楽しむ分にはすごく良いしね(ミュージカルとしてそれで良いのかという問題はある)
  • 作中二度目の誕生シーンだけど、あの不気味さには慣れないな……。それだけ怪物役お二人の演技がすごい
  • 銃を構えて入ってくるルンゲさん、何で怪物の存在を予測できてるのって話ね。あなたこの前まで一緒に実験してたでしょ
  • 父の死を目の前で見ても気丈にビクターを守っていたエレンが、怪物を見たぐらいで気絶しちゃうのも何かなあ……
  • 生まれたての怪物は少なくとも悪意ってものは知らないから、故意に人を襲っているわけじゃなくて、力加減が分かってないか結果が予想できてないかなんだよね。可哀想な子……
  • ルンゲさんを看取ったビクターが悲しみに暮れたり怒ったりせずにアンリ(怪物)と向き合うとき、中川さんビクターは科学者の顔をしてるけど柿澤さんビクターは親友を見る顔をしてるんですよ。それがこの二人の未来の違いの全てだと思う
  • 鎖で遊んでる怪物、本当にただの赤ちゃんでなあ……。その手から鎖を奪って首を絞めるビクターの業の深さがつらい
  • 『また再び』、色んなメロディーの寄せ集めでできてる上に、音程が本当に気持ちいいのでめちゃくちゃ好き。内容もマジでしんどい
  • 窓から逃げていく親友の顔をした怪物を見て親友の名前を呼ぶの、何かもう感情がデカすぎてうわあって感じ(語彙力)
  • ここ、オリジナルの歌詞は「アンリ〜」じゃなくて「ダメだ〜」っていう意味だと聞いたんですが、もし本当にそうなら、「アンリ〜」に変えたのすごく頭いい。「ダメだ〜」だと「怪物を世に放ってはいけない」みたいな責任感が見えるけど、「アンリ〜」だとあの人間じゃない怪物の後ろ姿になお親友を見ているわけで……。まあ実際韓国版観てみないことには何とも言えないけど
  • あのロングトーンで一幕が終わるの、すごくフワフワした気持ちになるよね。すごい歌を聴いて楽しい反面、話は重くて悲しいから

ステファン邸:『平和の時代』リプライズ〜『あなたなしでは』

  • 結婚式……なんだよね? 最初に観たときよく分からなかったぞ。人々も表面上は二人のこと祝ってくれてるしね
  • その回のビクターのジュリアへの向き合い方が如実に出るのが『あなたなしでは』。だーいすき!のときもあればそうでもないときもある
  • 雷鳴が響くような天気の中、なぜ市長は散歩に行ったのかって思ってたけど、怪物に呼び出されたのかもしれないなあ。それくらいしそうだよねあの怪物
  • めちゃくちゃ犬が死ぬ話・フランケンシュタイン。ちょっと可哀想

森の中:『行方不明』〜怪物との対峙〜『逃亡者』

  • 意外とちゃんと手を貸してくれる町の人々。ステファン市長やっぱり人望はあったんだろうか
  • 占い師の存在がマジで謎
  • 『行方不明』も、内容は物騒なのに曲はキャッチー。曲だけ聴くとお祭り騒ぎみたい
  • 三年越しに「創造主」と呼ばれたビクターの心中もさることながら、ついに創造主と顔を合わせた怪物の方も、なかなか複雑だろうな。ただ、言いたいことは色々あるだろうに、一番に聞かせたいのがジャックの話っていうのは意外な気がする
  • 怪物、ビクターに対して「なぜ俺を造った」とは訊かないじゃない。彼は実際どう思ってるんだろうね。ジャックが言ってたように「趣味で作った玩具」と思ってるのか、それとも何か違う風に思ってるのか
  • もし怪物がその質問をしていたら、また違う結末だったのかもしれない。ビクターのアンリへの想いを怪物がちゃんと知っていたら……
  • 「あんたが作った俺の痛みは〜」のとこ、「生命創造の歴史が今〜」のとこと同じ曲なのヤバいよね。その後の、追われててお腹が空いて人里に下りるところ(歌詞よく覚えてない)は「また始まったか生命を作るという強い衝動が〜」だから、ここもヤバい。ビクターが生命創造という夢に取り憑かれているときに歌っていた歌を怪物に歌わせるのもうヤバい。ビクターのメンタルが瀕死、私のメンタルも瀕死
  • ビクターがあさっての方向を勢いよく指差すときに、肩のヒラヒラがふわってなるのが好き(たまに勢い良すぎてめくれ上がっちゃってたけど笑)
  • 犬を食った怪物はなぜ熊を殺してカトリーヌを助けたのか。この時点では人間とその他の動物の区別はついてて、人間→助ける、その他→捕食対象、として認識してるのかな。人間を食べないというのは何から来てるんだろう
  • 怪物は自分のこと人間だと思ってるのかな。どうなんだろうな。思っていそうな気もするし思っていないような気もする
  • 「あれは怪物」、リトビクに対する「あれは魔女だ」と同じメロディー。他人が勝手に決めつけて騒ぎ立てるときの歌だな

闘技場:『欲と血の世界』

  • 闘技場 is 何
  • あの量の客に対してあれだけダンサーと手下と戦士(?)がいたら、そりゃ借金もするよなあ。根本的に商売が上手くなさそう
  • 試合に負けた奴を殺さないといけないの、意味分からなくない? 負けた奴同士とかでもう一戦やればいいじゃん。そんなに人間を使い捨てにしてたらそりゃ経営も傾くよ
  • 客の方も、男が殺されるのを見て何が楽しいんだろう。そのせいで評判が落ちるくらいだから、あの人たちにとって死ぬか死なないかは大きな問題なんだろうけど、さっぱり分からん。分かりたくもないけどな
  • イゴールさんが可愛い(末期症状)。彼は何であんなところで働いてるんだろう、倫理観がお亡くなりになってるからかな
  • この曲の歌詞全然覚えられないんだけど、「ほら見て マッチョの胸 光る汗」だけは印象強すぎて覚えた
  • 怪物、相手を殴ってるとき虚無顔してるよね。やりたくないのにやらなきゃ死ぬから拳を突き出してる
  • 個人的には、男同士の殴り合いよりもエヴァの歌の方にお金出したい
  • 「最近不況」って話、中川さんジャックだと本当に収益ないんだなって感じるけど、柿澤さんジャックだと絶対お前が女遊びしてるからお金ないだけだろって思う……
  • この時点ではまだ、フェルナンドの旦那の言ってることは闇金としては割と普通じゃない? あれだけ非情なことができる人なのに、意外と優しい。セクハラはするけど

地下牢獄:『お前は怪物だ!』

  • ビクターのことを「気が狂っている」と認識できるくせに、自分は抵抗なく怪物のことを虐められるのがジャックという人なんですよね
  • 「お前はもう人じゃないんだ もっと残忍になれ 醜い化け物らしく」って歌詞、考える余地がありすぎて困る。「もう」ってことは以前は人間だったことを認めているわけで、怪物はいつまで人間だったんだって思うし(アンリのときのこと言ってる?)、「見た目が醜い」=「中身も醜い」なのかとか、ジャックから見ると怪物は自分のこと人間だと思ってるように見えるんだろうかとか。ジャック自身、怪物が人間であることを分かった上でわざわざ売り物として使ってるように思うので(だって、そうじゃないと客としても賭ける気にならなくない? 人間をより強い人間が倒すから面白いんであって、人間が怪物に倒されるのを見て面白がる人いる? 土俵が違いすぎてつまんないでしょ。まああの世界の人々の感性は私とは違うから怪物大好きかもしれないけど)、結局彼がやってることはビクターよりも断然人としてヤバいんですよ。それに気付いててやってるのか無自覚なのか、とかね。考え始めると止まらない
  • 「馬車馬よりも尽くせよご主人様に」のとこの手下ーズが好き
  • 怪物は本当に可哀想以外の何物でもない。そりゃ生きるの嫌になるよな。自殺しなかっただけ偉いよ
  • 曲自体はめちゃくちゃ洒落てるし、歌詞がなければ雰囲気あるバーとかで流れてても良さそう。何なら、別の世界線でビクターもアンリも死なずにハッピーエンドを迎えて、この曲を別の歌詞で歌いながら楽しく飲み交わしてほしい
  • イゴールさんの焼きごてが「ウェーイwww」ってテンションなのすごいよね逆に。あんな楽しそうに拷問する人いる???
  • ジャックがイゴールさん大好きの回と別にそうでもない回も結構はっきり分かれてたなって気がする

地下牢獄:『そこには…』

  • それまで表情が薄かった怪物が、カトリーヌと交流することで、言葉だけじゃなく感情さえも手に入れた感じがする。その扉をこじ開けたのは(博愛的な意味での)愛なのかなって
  • 「人間じゃないから怖くない」って言っちゃうカトリーヌ、慰めてるつもりなんだろうけど残酷だよね。怪物が一番ほしかったのは「あなたは人間だよ」って言葉だと思うから。カトリーヌは何を根拠に人間じゃないって思ったんだろうね
  • 怪物が一番嫌だと言ったものって「暴力」でも「迫害」でもなく「欲望」で、それって人間の行動の一番前に出るものじゃなくて隠れているものだと思うから、それをちゃんと見抜いた怪物の頭はやっぱり切れるなあと思った。元アンリの脳だからかな
  • 切なくて仄暗くて、この二人は絶対結ばれないだろうなって思ってしまう曲。幸せそうなのに影が見える

地下牢獄:『人間のふり』

  • 闘技場は違う世界だし一幕の曲のリプライズとかはないかなーと思ってたら、まさかの『1杯の酒に人生を込めて』のメロディー。ビクターとジャックが繋がっちゃって震える
  • 「どっちが口説いた」って言った後に「おや喋れるのかい?」でエヴァさん知能低すぎでは……?になった。喋れなきゃ口説けないでしょうよ
  • ジャックの「マジかよ」、可愛いんだけど言葉遣いのコレジャナイ感。そんなチャラい喋り方する子じゃなかったよね……?
  • どっちのジャックかによって、エヴァとジャックの力関係が全然違って見える
  • ステッキを口に突っ込んでぐりぐりやるところ、毎回苦しそうすぎて私までおえってなってた

小屋の前:『生きるということは』

  • フェルナンドがなぜかいい奴に見えるシーン。やってることは犯罪だしゲスいはずなのに、カトリーヌからしたら救世主に思える
  • 持ってくるのも、致死性の毒じゃなくて「命に別条はなくてちょっとだるくなっちゃう薬」だしね。悪人になり切れてない感じはあるよね
  • カトリーヌの、酔ったように小瓶を見つめる目がふっと正気に返るところがたまらなく好き。あっさり毒を飲んで死んじゃいそうだったのに、かっと見開いた両眼にはもうその弱さは一ミリもなくて、人間でありながら獣になってる
  • 獣になってでも生きていたいか、周囲に対して非力でも人間として死ぬか、という話なんだろう。カトリーヌは生きていたかった
  • でも良心を捨てることに抵抗がないわけじゃないと思うんだよね。「獣は良心をもたない」って言っておきながら「獣になりたい」って言うわけで、彼女の中のどこかで良心が叫んでるんだろうなって気がする。最後も「人になって生きてること感謝するかもしれない」だから、振り切れちゃった歌と言うより振り切りたい歌

闘技場:『欲と血の世界』リプライズ〜『俺は怪物』

  • 手下の一人がバケツを片付けるときに、中の水の臭いをかいで「うわーくせえ!!」ってやるときと、毒の小瓶を見つけて「何だこれ?」ってやるときがあったんだけど、どっちも細かい上にちゃんと流れを汲んでていいよね
  • 客たちは、この試合の結果が闘技場の今後に関わるって知ってるのかな? いつも通り能天気に見えるし知らなそう
  • 怪物の異変に気付いたときのジャックが、焦るでもなく怒るでもなく冷静に原因を突き止めに行く感じ、すごくビクターっぽい。ルンゲさんが死んだときのビクターを思い出す
  • フェルナンドさんがばらまくお札の枚数が貧弱すぎて、アホの子感が増してしまう
  • 怪物と仲良くしているところも目撃していたのに、怪物に小細工をしたのはカトリーヌだってあたりをつけるジャック、勘がいいなあ。フェルナンドが自分の手を汚すわけないって思ってるところも、流石というか何というか
  • カトリーヌが変に謝ったり泣きついたりしてこなくて、怪物としては良かったんじゃないかなあ。もちろん裏切られ利用されたことは許せないだろうけど、またそこで優しい仮面をつけて同情を誘ってきたらもっと許せなかっただろうと思う。嫌いになるきっかけをくれただけマシ
  • エヴァとジャックにとってあの闘技場がどういうものなのかよく分かんないせいで、闘技場を取られるのって殺すほどのことかよって思っちゃったんだけど、特に深い意味はなくても「邪魔だから殺すわ」ってノリで殺人ができる人たちなのかも
  • 「そう簡単には死なせないよ」っていうエヴァのやり方が、怪物に復讐のヒントを与えたのかもしれない……
  • あの死体たちはどこへ連れて行かれたのか……。まさか火葬とかじゃないだろうし、いつも死体を捨てる場所ってのがあるのかな
  • 捨てられた怪物の心境吐露が「これが孤独癒せぬ痛み」から始まるの、結構びっくりした。虐められてつらいとか裏切られて悲しいとかじゃなくて、それを通り越えて「結局俺は誰にも理解されないし人間にはなれない」だから、感情より思考の方を表現してる。その妙に冷静で俯瞰してる感じ、アンリなんだよな……
  • 肉体が継ぎ接ぎであることって、やっぱりその人のアイデンティティーに大きく関わるのかな。「血は誰かの血 肉は誰かの肉」なのは(親から受け継ぐという意味で)どの動物もそうだし、怪物として生まれてからの三年でもう細胞は全部入れ替わってると思うんだけど、怪物的には何か感じるところがあるんだろうか
  • 継ぎ接ぎなことそのものじゃなくて、自分の生命が他人の死の上に成り立っていることがつらいのなら、それは理解できる。自分は本来存在してはいけないものなのだ、っていう気持ちになるよね
  • 火って人類の文明の象徴の一つだと思うから、あの怪物が松明を掲げるシーン、怪物が文明を得て人間になったことの暗喩かなあなんて思ったり。考えすぎ?
  • 闘技場が放火されたことに気付いたの、3回目か4回目ぐらいのときだった気がする。分かりづらい
  • エヴァとジャックが死んだかどうかは観客の想像任せだよね。どっちもありだな

広場:『殺人者』リプライズ〜『その日に私が』

  • 新しい執事さん、すっごい普通の人感強いよね。それがいいんだけど
  • 闘技場の話を一通り聞いたビクターが、その件に関して何の感想も述べないの怖くない? 壮絶なストーリーに対して何も思わなかったの?
  • それどころか「復讐、それがお前の望みか」だもんなあ。ジャックにはてんで興味ないなビクター。あのアンリ大好きビクターなら、焼きごての痕とかを見て怒ってジャックに嫉妬してもおかしくないのに
  • 怪物の復讐計画が周到すぎて流石。上質な脳味噌を悪事に使うのが一番ヤバいっていうのは常識
  • 人々が野蛮すぎるシーンその2。本当に怖いのは腐敗した権力じゃなくて血迷った大勢かもしれない
  • 「財産目当てで殺人」に妙に説得力のあるフランケンシュタイン家。お金なさそうだもん……
  • 「あったの死体が」と「牢にぶち込んで」が同じメロディーなのえぐいわ。立場は簡単にひっくり返るし人は簡単に死ぬ
  • ずっとエレン、エレン、と呼んでいたビクターが姉さん、と呼ぶシーン(中川さんビクターの場合は帰郷シーンでも呼んでた気がするけど)。幼いビクターに戻ってんだ……
  • 小さい頃は「必ず僕は戻ってくるよ」って言えたビクターが、そう言えなくなってしまった。自分が周りの人を次々に巻き込んでることにちゃんと気付いてるから。そんなビクターにある意味追い討ちをかけるように、夢を応援するエレンとリトジュリ。もしここで「あなたは十分頑張ったよ、もう休んでいいんだよ」って言ってもらえていたら、あんな結末まで走っていくことはなかったのかもしれない
  • ビクターは、エレンの存在をどこか当たり前だと思っていて、だからこそ強く当たってしまったりするんだけど、決して当たり前じゃないんだと気付いたときにはもう、エレンは死んでいるんだよ。ありきたりな話だけど、ビクター自身が言葉でそれを語ることはなくて行動で見せられるので、観ているそのときにじゃなくて遅効性でじわじわ悲しみと切なさがくる

実験室:『絶望』

  • 大切な人を失うたびに、どんどんおかしな方向に狂っていってしまうビクター……
  • 今度は全身使うんかい! っていうのはツッコんではいけない
  • 見えやすいようにだと思うんだけど、エレンの索状痕が変な位置にある。本当に首を吊られたんだったら、あんな位置に痕はできないと思うよ
  • 「壊れてる!」じゃなくて「壊されてる!」って言うんだよね。人為的にやられたことを咄嗟に見抜いてる。こういうときでも目だけは冷静なのね
  • ビクターを創造主としてしか見ない怪物と、怪物をアンリとして見ていたいビクター。願っていることはお互いさほど変わらないはずなのに、決して分かり合えない
  • 「俺はこの部屋で生まれた」「僕はこの部屋で夢見てた」、言うまでもなくしんどいしんどい。しんどい! どうしてここまですれ違わなきゃいけないんだ! 誰もこんなこと望んでないだろ! 神よ、神よ何故!
  • ビクターが泣いて縋っても、怪物の決めたことは揺らがない。『君夢』でのアンリを思い出す。他人の話を聞こうって気がないんだよ彼ら
  • アンリもルンゲもエレンも悲惨な死に方をしたのに、この期に及んで綺麗な死に方を望むビクター、それは強欲ってもんでしょ。自分だけ楽に死ねると思ったら大間違いだよ
  • 「あの満月割れたら再び戻って痛みの続きをくれてやる」って、格好いいセリフだけど、何で十日ぐらい日を置くことにしたのかよく分からない。まさか、ビクターが衛兵を雇うことまでは予測してないだろうし

森の中〜実験室:『ただ一つの未来』リプライズ〜『後悔』

  • この『ただ一つの未来』のリプライズ、どこかで怪物も聴いているんだと思うと……。このメロディーが引き金になってアンリの記憶を取り戻したりしてないかな?
  • アンリとビクターが意気投合した曲が、最後には怪物とビクターが敵対する曲として使われるんだ。この歌から始まった二人はこの歌で決別する
  • 怪物のことを「殺人鬼」って表現してるけど、実際直接手にかけたのってこの時点ではまだ市長だけだよね。しかも人々の中では、あれはエレンの仕業ってことになってる。じゃあその殺人鬼呼ばわりはどこから来たんだ……?
  • 「あいつは人間じゃない!」っていうセリフ、ビクターが自分に言い聞かせてる部分もあるんだろうなあ。そう思っておかないと殺せないもんね
  • ジュリアが自分の近くにいたら巻き添えを食うかもしれないけど一人にしておきたくもない、というビクターにとって、誰か別の人に警護してもらうっていうのが一番現実的な案だったんだろう。それが結果的には怪物の思う壺だったわけだけど
  • どうして僕じゃなくジュリアを、なんて訊かなくても分かってるし、言わなくても通じてる。二人とも思考力はちゃんとしてるもの。だけど、理解することと分かり合うこととは別なんだよね
  • ビクターが音に乗せずに怪物を怪物と呼ぶのはここだけ。言いたくなかっただろうし言われたくなかっただろうに、そう言語化してしまうことで二人の関係はちゃんと一歩前進するんだよな……
  • 人間の方がよっぽど怪物だ、の人間はどこまで含んでるのかな。ステファン、エレン、ジュリアあたりも怪物だと思ってるのかな。アンリのことはどうなんだろう
  • お前はもっと苦しめ、と言っていた怪物が、涙を流すビクターから目を背けるように去って行く。ビクターが苦しむ様子を見ていられないんだよね。怪物は根っから残虐というわけではなくて、ちゃんと感情があるし、結局人間だし、回によってはもうアンリの人格を手に入れてると思うし
  • 北極で、という超大雑把な約束でも、この二人ならお互いに引き合って出会ってしまいそうに思えるのが不思議
  • 「挑み 驕り 迷い 足掻き」の四つがビクターの人生の全てだったんだよね。あんまり迷ってた感じはないけど
  • 「輝く星のように〜」のとこ、「これはきっとあの日〜」とすごくメロディーが似てる気がする。全く同じではないと思うんだけど。アンリが嬉しそうに「君のために死ぬのが僕の運命なんだ」って歌った歌を、ビクターが泣きながら「僕の運命のせいでみんなが死んだ」って返すの、本当にもう……、つらい。運命で雁字搦めなんだよこの二人
  • メンタルが折れてる主人公の「みんな死んだ 僕のせいだ」に本気で「そうだよお前のせいだよ全部な!」って思える作品も珍しいぞ。本当に全部ビクターのせいだからな。庇う余地もない
  • むしろ、これまでは「ただ泣いてる」ことはなかったってことの方がすごいことだよね。ずっと泣いてはいるんだけど、一方で情熱や信念は燃やし続けていたし、できることをやろうという気持ちはあったんだもんね。それがビクターの狂気でもあったわけだけど
  • ビクターの最後の砦はジュリアだった。でもアンリが死んでいなければビクターはジュリアのところへは行かないんだろうな

森:『傷』

  • この少年は誰なのか問題。リトビク、人類の未来の象徴、幼い頃のアンリ、怪物の中のアンリの人格の具現化、エトセトラエトセトラ。きっと正解はないし色々考えられると思う
  • ただ私が重視していたいのは、怪物が誰かと「きちんと会話をしている」という点なんですよ。カトリーヌとのときはまだ知能があまりないし、ビクターとは一方的に言葉を投げつけ合うことしかできていなかったのに、この少年とは滑らかに会話が成立しているの。それだけ成長したんだなって思うと感慨深い
  • 怪物が道に迷った。悩んでもしっかり自分で答えを出してきたアンリ/怪物が「道に迷った」と他人に告白している。ビクターとどうしたらいいか、アンリとして生きるのか怪物として生きるのか、そもそもこれからも生きていくのか、色んなことが分かんなくなっちゃったんだろうなあ
  • 「どう生きるのか どう笑うのか どう恋をして どう死ねばいい 答えを出せずに 自分のものだと 思っているのさ この世を 人間は」。7回観ても今だに噛み砕けないフレーズ。ここでもまた「人間」にはどこまで含んでいるのかっていうのもあるしね
  • ビクターはもうボロボロだけど、それと同じかそれ以上にアンリ/怪物もボロボロなんだよね。気張ってるから倒れないだけで、精神状態的にはうずくまってしくしく泣いててもおかしくない
  • 韓国版は少年を殺しちゃうって聞いたんですけど本当ですか!? だとしたら全然話違うじゃん……。復讐に関係ない人殺しをするかしないかってかなり大きな差だよ

北極:『俺はフランケンシュタイン

  • 棒切れ一本で出会ってしまった運命の二人(※すごい寒そう)
  • 回によって流れが違いすぎて、まとめて書けることはほとんどないけど、脚本の意図としては怪物がビクターを怪我(→失血死)させてビクターが怪物を殺すってことなんだと思う。そうなってない回も多かった気がするけど
  • 二人して絶望に打ちひしがれて死んでいく、っていうのが基本形だと勝手に決め付けてるのでそれについて書くと、まあ因果応報だよなとは思ってる。あれだけの人が死んで、こんな酷い結末になって、それでもこの二人が幸せに生き長らえるのは流石にファンタジーすぎるからね
  • 今にも死にそうな人にとって死とは何なのか。ここまではそれを明確に語るのはギロチン前のアンリだけで、あとは残された側だったり殺す側だったりが語るわけだけど、最後の最後でそれを考えることになる。罰? 制裁? 救済? 単なる現象?
  • 死に際に自分の名前を叫ぶってどういう心境なんだろうね。毎回解釈が変わるけど、「いやそもそも死ぬときに名乗るか?」という疑問は消えない。まあでもあの自己中ビクターだから……
  • 一幕ラストが「ア〜ンリ〜〜〜」で二幕ラストが「俺〜は〜フラ〜ンケ〜ン〜シュタ〜イ〜ン」なの、物凄い業を感じる。色んな人が出てきたけどこれは結局二人の世界でしかなかったんだなって思うし、切っても切れない縁で結ばれてしまった二人だったんだなって

余談

  • どこで聞いたんだったか忘れちゃったけど、初演のとき、柿澤さんのジャックを見た中川さんが「僕にはできない」って思ったという話。柿澤さんの「板の上だからここまでできる」覚悟も好きだし、中川さんの「板の上だとしてもここまではできない」覚悟も好きだなと思った
  • 私の一番好きなペアはあきかずです(知ってた)
  • スペシャルバージョンのカテコ、円盤に入るかな? ほしいよ〜、ジャック衣装のカテコが観たいよ 〜
  • 30年後ぐらいにあるだろうオールキャストチェンジのこの作品も、また観てみたいなと思ってる。たぶんまた全然違う話になる笑